医療法人 英俊会
富士山内科クリニック
<リウマチと上手く付き合っていくために>
人生楽しく過ごしていらっしゃいますか?
リウマチで毎日痛みと戦っているのに楽しくなんか過ごせるか!!といった声もあるかと思います。先の見えない状態に毎日とても不安だ、という声もお有りかと思います。
確かに仰る通りです。
なぜ皆さんがリウマチで長いこと苦しみ悩まないといけないのでしょうか。それは関節リウマチを根本的に治す治療というのが現状まだ存在しないからです。
関節リウマチという病気の根本原因はまだはっきりと分かっておりません。
世界中の研究者がその根本原因を解明すべく日々努力をされており、これまでのところ、遺伝子的な何らかの異常が関係している可能性や歯周病の原因菌や何らかのウイルス感染などが発症に関係している可能性、喫煙が誘引となっている可能性など いくつかの知見は得られるようになっているのですが、残念ながら “ここを治せばリウマチが治る!”といったものは分かっていないのが現状です。
その為、現在の関節リウマチの治療というのは、取り敢えず関節に炎症を起こす火種となっている誘引物質を減らして関節になるべく炎症が起きないようにしよう、といった治療になっています。それには色々なお薬を用いることになりますが、どれも根本治療のお薬ではないので、大抵の場合 一生使い続けなければならない(止めるとリウマチが悪くなる)といった問題があります。また、リウマチのお薬の殆どが体の抵抗力を下げてしまう作用があり、それによる感染症の発生やその他数多くの副作用に悩まされる事があるといった問題も出てきます。
皆さんの中には既にお薬による副作用が問題となっている方もいらっしゃるでしょう。それによりリウマチ自体の治療も上手く進められないという方もいらっしゃるかと思います。また、ご存知のように、生物学的製剤や低分子標的薬(JAK阻害剤)などといったお薬は、効果は高いものの値段もとても高く、使いたいがとても手が出ず、泣く泣く痛みに耐えているとった方もいらっしゃると思います。
そのような状況下において、薬に頼る以外に何か私達自身で病気を良くすることは出来ないのでしょうか?
実は人間の体というのはとても良く創られていて、病気を自分自身で治す働き“自然治癒力“ をもともと持っています。
この自然治癒力をいかに生かせるか、という事が関節リウマチ(リウマチに限った事ではありませんが)と上手く付き合っていく、はたまたリウマチを治癒に近づけるための大事な鍵になるのではと思います。
その為に、以前は身体に良いこと悪いことを幾つか紹介させて頂いたと思います。
**********************************************************
身体に良いと思われるもの: 笑う事、運動、断食、深呼吸、瞑想など
身体に悪いと思われるもの:タバコ、ストレスやネガティブな考え、様々な化学薬品、食品添加物など
**********************************************************
その中で、今回は「笑う事」に焦点を当ててみたいと思います。
これまで、笑いが病気に与える影響についての様々な研究報告があり、関節リウマチに関しても、笑う事でリウマチ患者さんの血液中のIL-6というサイトカイン(関節に炎症を起こす原因物質の一つ)が減少するという報告があります。
その他、全員の痛みが軽減、痛みを和らげるメチオニン-エンケファリンが増加、コルチゾールが正常化、IL-1が減少、TNF-αが減少、といった変化が認められたようです。 これらは全て関節リウマチに対して良い影響を及ぼす変化であり、特にTNF-αやIL-6といったサイトカインはそれを減らす為の薬が生物学的製剤として4~5万円前後の値段(保険が効いての月の値段)で使用されているのです。
つまり、笑う事でこの医療費が節約出来る!?かもしれないのです!
こういった研究報告を受けて、私のクリニックでも笑いの実験をしてみました。
先の報告ではリウマチ患者さんに1時間程の落語を聞いて笑ってもらったようなのですが、私の実験ではリウマチ患者さんに3分間、それも何もなしに笑って頂きました。
3分間ずっと笑い続けるのは大変なので、30秒間声を出して笑って頂き、その後30秒間笑顔でリラックス、これを3回繰り返して頂き、その前後での血液中のIL-6濃度を測定しました。4人の患者さんにご協力頂きましたが、その結果、一人の患者さんでIL-6値の明らかな減少が認められました。
残念ながら他の3人の患者さんではIL-6値に変化が見られませんでしたが、たった3分間しか笑っていない事を考えると、この結果は驚異的なのではないかと思っています。 因みに同時にTNF-αについても測定致しましたが、こちらは全ての患者さんで笑い前後で変化がありませんでした。
たった3分という短い時間で血液中のIL-6の濃度が急激に変化する理由ははっきりしません。ですので、今後より詳細な研究でその辺りの事を調べていく必要があるのだと思います。
この、笑いとリウマチに関する知見はそれを取り上げる研究者自体少なく、報告数も殆どないので、医薬品のように効く証明がちゃんとされている(エビデンスが有ると言ったりします)とは思われていないようです。ですので笑いを進めるお医者さんもあまりいないでしょう。しかし、リウマチ以外の病気(糖尿病や心臓疾患など)に対する笑いの効用も徐々に報告されるようになっており、関節リウマチに対しても、少なくとも笑う事がデメリットになるような事はなさそうです。さらにお金も掛からないという特典付き(医療費が節約出来る可能性も!)。ですので、私はリウマチ患者さんにまずは無理矢理にでも笑ってみる事をお勧め致します。なにか楽しい事や面白い事があるから笑うのではなく、何もないところで声を出して笑ってみるのです。常に笑顔でいる事を訓練してみるんです。ネガティブな考えやストレスは逆に病気を悪くするという報告があり、1日のうち30分笑っても、残りの時間すべてをネガティブな状態でいると、残念ながら病気はよくなりません。ですので、起きている時間の半分以上を笑って過ごせるなら、皆さんの病状は明らかに変わっていくのではないかと私は思っております。
笑う門には福きたる! 私達が元々もっている自然治癒力を信じて、毎日笑って過ごしましょう!
富士山内科クリニック
副院長 山形俊昭